スタッフを雇う [起業話#11]

順調に、また途切れることなく仕事をいただくようになり、初めての仕事を受けて数ヶ月後には海に入る時間さえ圧迫されるようになった。

海に入ってサーフィンをすれば、当然その他の時間を犠牲にする必要があり、文字通り、寝る間もないほど忙しくなった。

月々の売上もある程度コンスタントにあったため、僕は僕がやらなくてもいい仕事をお願いできるスタッフを雇うことにした。

だが、後から考えると、この考えは「僕にとっては」大きな間違いだった。

「人を雇う」ということは、『僕にとっては』大きな間違いだったのだ。

それが何故かは、いつの日かまた改めて書こうと思うが、簡単に言うと、人を雇う、つまり人をマネージメントできる人間とできない人間がこの世にはいる。

後者の人を雇う(マネージメント)できない人間は人を雇ってはいけないのだ。

それにも関わらず、人をマネージメントする立場になると、自分もスタッフも不幸になってしまう。それを僕は自分の経験から大変痛い思いをして学んだ。

どうしても人が必要な時は、並ならぬ努力をして、勉強をしてマネージメント力を鍛えるか、すでにそれができる人間に任せた方がいい。

ただ、その場合、その分の人件費などが当然かかってくることも考えておかねばならない。

 

さて、単純に時間がほしいから、人を雇おうと考えた僕は、また単純にその頃知り合ったばかりの友人(仮名:ヤスオ)に声を掛けた。

(そして、これがさらに大大大間違いだった。何故なのかはまたいつかの機会に。)

ヤスオは迷っているようだったが、当時彼はフリーターで2つのバイトを掛け持ちしていた。

僕が提示した時給は、その2つのバイトよりも高額だった。

パソコンはインターネットを見る程度ということだったため、制作に関してはある程度時間が必要だと思ったが、書類づくりやその他の簡単な作業をお願いできるだけで、当時の僕は助かる状態だった。

返事をもらうまでしばらく時間がかかったが、最終的にヤスオは僕の仕事を手伝ってくれることになった。

ヤスオの家は僕の事務所から来るまで30分以上と遠かったため、深夜のバイトもしていることから、こちらの仕事を手伝ってもらうのは平日14時から17時でお願いした。

しかし、彼は最初から遅刻グセがあった。

遅刻どころか、しょっぱなから無断欠勤があったのだ。

だが、僕も甘かった。

友人だからというのもあり、さらにこちらから声をかけた引け目もあり、それらに関しては注意することもなく、「次から頼むよ」といった具合に黙認したのだ。

そんなことがあったものの、実際、人柄は良く、仕事に関してや初めてのスキルを習得する一生懸命さもあり、僕のことをとても助けてくれた。

だから、僕はそれほどまでに問題にはしなかったのだ。

 

そんなこんなで、僕の起業ライフはそれまでのひとりの歩みから、ヤスオというスタッフと共に歩むスタイルへと変わった。

個人事業として屋号を構え、仕事をもらえるようになり、事務所を構え、スタッフを雇った。

これらのことを「やろうと思ってもなかなかできないよ。」と多くの人に言われた。だが、着々とそれらが進んで行くことに、僕はちょっとした自信を持つようになっていった。


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