電話をなくす[V字回復上り坂#2]

一人で仕事を効率よくこなさなくてはならなくなった僕が取り組んだことは、とにかく時間の無駄をなくすことだった。

そのひとつが電話を無くすことだった。

電話は、こちらの都合を考えずに先方のタイミングでかかってくるし、一旦長電話になると1時間ほど話し込むことさえある。

そうすると、それまでの作業への集中力も途切れるし、予定していた段取りが狂ってしまう。

僕の携帯はかつて多い時は、常に鳴っているような状態だった。

そこで、オフィスをたたむ時に固定電話を無くすついでに、電話応対も無くす方向に決めた。

とはいえ、それまでバンバンクライアントとのやりとりにはオフィスの固定電話や携帯電話を使っていたから、ある日突然、きっぱりとやめるということは難しかった。

また、固定電話番号の有無は法人にとって信頼度に影響する。

そこで、僕がまずやったことは、外部の電話応対サービスだ。

これなら、電話番号はそのまま使えるように保持したまま、さらに僕が応対しなくてすむ。

電話番を一人雇うよりもかなりコスト削減にもなる。

実際、会社の番号にかかってくる電話は営業の電話が途方もなく多い。

電話応対サービスには、営業電話は全て断ってくださいとだけ伝えておけば、営業電話に費やす時間と労力を0にできる。

僕は、営業電話が大嫌いだ。

電話営業は、よくもあんなずうずうしい営業ができるものだと辟易する。

勝手に電話をかけて来ておいて、自分たちの利益をあげるために、こちらの時間を削らせる。

僕にとってはなんとも許しがたい行為だ。

だから、電話営業をしているような会社のサービスは絶対に使わない。

営業電話を、外部の電話応対サービスでフィルタリングできれば、かなりの時間を無駄にしないですむのだ。

実際、多くのクライアントは僕の携帯電話に直にかけてくるし、たとえ会社の電話にクライアントや仕事の電話がかかってきたとしても、電話応対会社からその旨の連絡が入るため、こちらのタイミングでかけ直しが可能だ。

また、この体制をとりつつ、クライアントには「IT化業務のため、基本的にやりとりはメールかチャットで」という風土を浸透させていった。

その結果、今では誰も電話をかけてこなくなった。

大げさに言っているのではない。

本当に、電話がかかってくることがなくなったのだ。

電話で話をすることの多くは、メールやチャットで済む。

「電話の方がすばやく事が進む」というのは、ただの幻想だということがわかった。

コミュニケーションが密にならないことを心配する声も聞くが、コミュニケーションなんかは、実際に会った時に取るのが一番だ。

仕事でなくても、一緒に食事に行ったりする方がなおさら深いコミュニケーションがとれる。

ただ、気をつけていることがある。

それは、メールやチャットなどの文章は『感情が伝わらない』ということだ。

電話であれば、声のトーンや話ぶりで感情が伝わるが、メールやチャットではそれができないため、そんなつもりがなくても、相手をムカつかせたりしてしまうことが多々ある。

そのため、僕はメールやチャットの文章は、必ず下手の書き方で丁寧に書くようにしている。

あ、何か誤解されているかも。

と感じたら、そんな時こそ電話を活用する。

おかげで、メールやチャットでのやりとりでもトラブルが生じることはまずない。

電話はとにかく自分の時間をごっそり削っていく事がわかった。

あのまま、電話を使い続けるスタイルを取っていたら、僕はV字の坂道を登り切れなかったかもしれない。

効率よく売り上げをあげるためにも、ITが浸透した現代では、メールやチャットの活用をぜひおすすめする。


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