電子定款と電子証明|(第5話)自分で株式会社を作ってみた

アメリカから帰ってきて、しばらくするとマイナンバーカードが届いた。

そしてここからが、自分で株式会社登記をする時の最大難関だった。

最大難関は、電子定款の作成だ。

電子定款を利用することにより、4万円もコストが浮く。

これはでかい。

 

ちなみにマイナンバーカードを作る際、電子証明証機能はデフォルトで付くようになっているが、いらない人は申請の際、それを外してカードを作ることを選択することができる。

念のため言っておくと、マイナンバーカードを作る時は電子証明証機能は付けたままで作る必要がある。

当たり前だが、電子証明証機能がないと、電子定款を作る際の電子証明をつけることができないからだ。

 

電子定款の内容自体は、参考にさせてもらった下記サイトの雛形を両方参考にしながら作った。

トラスティルグループさん「自分でできる」会社設立

inQupさん「会社登記の具体的な手順と必ず抑えておくべき6つの注意事項」

 

最初に言っておけば良かったのだが、僕が自分で株式登記手続きをできた理由として、電子定款を作る際に必要なAcrobat Pro DC(ReaderではなくPDFの編集機能が充実したソフト)とICカードリーダを持っていたということがある。

といっても、最近ではこれらを持っている人は多いと思うし、価格も大分安いので、電子定款の4万をケチる代わりに月額1,580円のAcrobat Pro DCを1月だけ契約して、安いICカードリーダーを買ってもいいと思う。

僕は仕事柄、AdoveのCREATIVE CLOUDを契約していたため、当然Acrobat Pro DCも利用でき、ICカードリーダーに関しては、三井住友銀行の法人口座アクセスのために、三井住友銀行から無料で送られてきたICカードリーダーを使った。

 

ネット上には「電子定款の作り方」というページが多数存在するが、どれも結局さらっとした説明過ぎて、結果的にはそれらを見てすんなり電子定款が作れたわけではなかった。

後述するが、ネットに落ちている情報を辿るよりは、専門家(無料)のサポートをフルに活用するのが一番早かった。

 

【電子定款をつくる手順】

(1)3種の神器を用意する

・マイナンバーカード

・Acrobat Pro DC

・ICカードリーダ

 

(2)「登記ねっと」というホームページで申請者情報登録をする。

ここで確かIDとパスワードが発行されたと思う。

 

(3)Windowsパソコンに必要なソフトをダウンロードし、インストールする。

①下記ページの登記ねっとから「申請用総合ソフト」をダウンロードし、インストール

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download.html

②下記ページの登記ねっとから「PDF署名プラグイン」をダウンロードし、インストール

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download.html

③公的個人認証サービスのホームページから「利用者クライアントソフト」をダウンロードし、インストール

https://www.jpki.go.jp/download/index.html

僕はMACユーザのため、家族のWindowsPCを拝借した。

 

この(1)〜(3)の目的は、

・Wordの定款に証明証をつけ、PDFで保存する。

・登記申請アプリを使って電子定款を公証人役場に提出する。

ということだ。

さあ、これで電子定款をつくる準備が整った。

喜び勇んで、申請用総合ソフトを開く…が、うまく動かない。

何故だ?

再インストールしてみたが、どうもダメだ。

登記ネットにはとても丁寧な分厚いマニュアルが用意されている。

いくつか見てみたが、丁寧すぎて膨大な文字情報は読む気になれなかった。

こんな5分悩んで解決しないことは、専門家に聞くに限る!

というわけで、登記・供託オンライン申請システムの操作サポートセンターに電話した。

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/contact/concact_support.html

このサポートセンター、とても親切丁寧で事細かく、分かりやすく教えてくれた。

そして何と言っても感じが良い。

どうやらWindowsのOSバージョンや、PCスペックによってはちょっと特殊な設定が必要らしい。

サポートセンターのお姉さんのお陰で無事、申請用総合ソフトを開くことができた。

礼を言って電話を切り、申請用総合ソフトをちょこちょこ触ってみる。

が、再び問題発生。

システム内に散らばる用語が専門的過ぎて、どんな手順で電子定款を作って電子証明をして、申請をすれば良いのかが全く分からない。

こんな↓感じで

再び、優しいに登記・供託オンライン申請システムの操作サポートセンターに電話する。

すると、手とり足取り、電子証明の付け方、電子定款申請の仕方を教えてくれた。

本当に、ここのサポートは手厚い。あっぱれだと思う。

きっと、対応トレーニングがしっかりされているのだと思う。

なので、ここでは、申請システムを使っての電子定款申請のフローについては省略する。

というか、覚えていない。是非、親切な操作サポートセンターに電話してほしい。

 

教えてもらったとおりに操作を進めると、公証人を選択するプルダウンがあった。

僕の管轄の公証人役場には3名いるようだ。

適当に誰を選んでもいいのかな?と疑問に思ったので、公証人役場に電話をして聞いてみた。

すると、事前に定款のチェックをしてもらったか?と聞かれ、していないと答えると明らかに馬鹿にしたような口調で定款は事前のチェックが必要で、さらに担当公証人が誰になるか事前に教えるので、その人を申請ソフトで選ぶ必要があり、誰でも良いわけではないと返ってきた。

明らかに素人が面倒くさい電話をしてくるなといった感じだった。

電子定款を作成するのに許認可は必要ない。

素人だって問い合わせることはあるのだ!

なめた口調が頭にきたので、ちょっと怒り目に専門家じゃないからそんなこと知らない。

知らないから聞いてるんだと言うと、ちょっと引き気味になる。

親切な登記・供託オンライン申請システムの操作サポートセンターの担当者とは大違いだ。

役場の受付には是非ここの対応を勉強してもらいたい。

 

結局、次の手順が必要だったことが分かった。

①公証人役場に定款をFAXし、内容に問題がないかチェックしてもらう。

②問題がある場合は、その内容を訂正。

③担当公証人の氏名を教えてもらう。

④公証役場に認証された定款を受け取りに行く日を調整する。

⑤登記・供託オンライン申請システムから電子定款を送付。

⑥指定された日に公証役場に行き、定款の謄本と公証人の認証を受けた定款の電子データをもらう。

<持ち物>ハンコ、印鑑証明書、公証人に払うお金(5万円)、定款の謄本交付手数料(2千円)、定款データを入れるUSB、身分証明証も必要だったかもしれない。

持ち物は、態度の悪い受付が電話で教えてくれるので心配ないと思う。

 

最終的に、登記・供託オンライン申請システムの操作に関しては、担当公証人を選択し、無事に電子定款の申請を完了することができた。

PDFには、電子署名をした位置に「印」とだけ表示され、ちゃんと署名されているのか少し不安だったが、大丈夫だったようだ。

後日、指定された日時に公証役場へ行き、無事定款の認証を受けることができた。

費用を支払い、謄本と認証を受けた定款の電子データをもらった。

できた!自分で電子定款の手続きができた!

マイナンバーカードの発行で大分時間が取られ、登記・供託オンライン申請システムも意味不明で挫折しかけたが、無事難関突破し、色々と勉強になったステップだった。

 

<今回のポイント>

(1)電子定款を作るのはやればできないこともないが、難しいし、面倒くさい。時間と手間が惜しければ、行政書士にお願いしたほうがよい。

(2)登記・供託オンライン申請システムから電子定款を申請する前に、公証役場に定款内容を確認してもらい、事前に担当公証人と認証後、公証役場に行く日程を調整する工程が必要。

(3)素人が登記・供託オンライン申請システムを使いこなすのは不可能。操作サポートセンターに電話して、手とり足取り教えてもらい、すんなり作業をすすめるのが○。


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