再びサンフランシスコ(サンフランシスコ旅6日目)

2日連続の飲み会のせいか、この日の朝は、若干胃がもたれていた。
日本から持参した胃腸薬を服用すると、夕方には全快。
日本の薬を持参する重要さをつくづく実感する。
海外の薬は体に合わないこともあるため、今回の旅では、自分の体に合った頭痛薬と胃腸薬を持参した。
ロサンゼルスでは、いくつものトラブル発生と移動の疲れからか頭痛がしたが、ロストバゲージのため、スーツケースに入れた薬を飲むことができなかった。
1日分ほどの薬を手荷物に入れておいたほうがよいということを学んだ。
その他に、プラスチックのスプーンやフォークを忍ばせておいたほうが良いということも。
スーパーで惣菜を買っても、日本と異なり、それらがついていなかったのだ。
その結果、部屋にあったコーヒーのマドラーを箸代わりにすることになった。

この日は、朝早くからカフェで朝食を取ることにした。

サンフランシスコの多くのカフェは6時30分や7時といった時間から空いている。
大都会のビジネスマンの多くが、朝はカフェで朝食を取るのだろう。
yelpで行き先の目星をつける。
堂々とラップトップを使えそうなコワーキングとカフェが一体化したような店、Workshop CafeにUberで向かうことにした。
熱いシャワーを浴び、身支度を整え、まだ朝の装いのサンフランシスコの中心街に繰り出す。
Uberの窓から見える街中には、通勤途中のビジネスマンが大勢行き交っていた。

混んでいるかと少し、心配だったが、Workshop Cafeは空いていた。
しかし、すでに10人はワーキングスペースで仕事をしている。
ブレックファストボールとヨーグルト、ラテをオーダーした。

ワーキングスペースを使いたいと言うと、入り口にある機械に電話番号を入れ、画面にしたがって操作してくれと言われた。
オーダーした品が準備されるまでの間、言われたとおりに入り口の機械に電話番号を入れたが、エラーになってしまった。
そうか。自分の電話番号はアメリカからすると国際番号だ。
再度、+81の国番号を入れて、先頭の0を抜いた携帯番号を入力した。
すると、無事SNSでメッセージが届いた。
しかし、メッセージの内容には、国際の電話番号は使用できないから、再度スタッフに尋ねるようにと書いてある。
再びレジに戻って事情を説明すると、ああ、とすぐに納得した様子で、クレジットカードを求められた。
1時間2$だそうだ。
クレジットカードを受け取ろうとすると、こちらで預かると言われた。
確かに、時間を図るにはそれがベターだろうが、だがしかし、クレジットカードを預けるのには抵抗があった。
しかし、決まりのようなので、おとなしく従う。
アメリカはクレジットカード社会だが、カードを店舗に預けることに皆抵抗を感じないのかが不思議だ。
気に入った席に自由で座っていいというので、見通しの良い背もたれのあるテーブルを選んだ。
ようやく落ち着いて、久方ぶりにPCとじっくり向き合う。
そのうちに、人がどんどん増えてきた。
サンフランシスコの中心街。
BGMの音が結構大きいが、みんな集中できるのだろうか。
ちょっと不思議だったが、フリーランスのビジネスをしている人に人気があるのだろう。
僕も何だかんだ、2時間程度のつもりが4時間も居てしまった。しかも、その間に左隣りに座った男性と、その後入れ替わった女性両方がトイレに行く時に、荷物を見ていてほしいと僕に声を掛けてきた。
もちろん構わないが、僕自身が怪しいとは思わないのだろうか。
アメリカ人はこんなところも不思議だ。

忘れずにレジカウンターでクレジットカードを受け取り、外に出ると美しい雨が振っていた。

昨日会った友人によると、サンフランシスコの人はあまり傘をささないと言っていた。
確かに、これだけ雨が振っているのに傘を指している人はまばらだ。
しかも、折りたたみ傘ばかりで、長傘なんてまず見かけない。
アメリカ人の謎はさらに深まる。

ユニオン・スクエア周辺のデパートに入ってみたが、どこもかしこもブランド店ばかりで、すぐに飽きて出てしまった。
平日とはいえ、客もまばらだ。
デパートという形態を時代がすでに必要としていないことを実感する。
何か、面白いものがあれば買おうと思ったが、全く欲しいものがなかった。
ロサンゼルスで無くしたマフラーをH&Mで調達した。
夜は首元が寒かったからだ。

ブラブラ中心街を散策する内に、小腹が減った。
yelpで調べると近くに良さげなメキシカンがあった。
ちょっと腹ごしらえしよう。
Matadorというその店はこれまで入ったTheメキシコな店内のメキシコ料理屋とは全く違っていた。

都会的で洗練されたインテリアで、店内は整えられていたのだ。

鳥のスープは辛くないか?と聞いたところ、全然。と答える店員。
それなら安心。と頼んだところ、すごく辛い。
アメリカ人の適当なところなのだろうか、それとも彼らにとっては全く辛くないのだろうか。
半分を食べたところでギブアップした。
ガッツリ食べるつもりはなかったので、鳥のスープとタコスアルパストールを注文したのだが、アメリカはなんせ量が多い。
タコスアルパストールは1つかと思いきや2つも出てきた。
こちらも半分だけいただき、ドギーバックをお願いした。

この日も雨が振っていたため、外歩きは気が引けた。
そこで、ホテルに一旦戻ってのんびりすることにした。
Uberを捕まえると運転手は腕にタトゥーをびっしりと入れた20歳ぐらいの男だった。
日本人か?と聞かれ、そうだと言うと、3月に日本に行くと言う。
友達がいるわけでもなく、ひとりだと。
その後、タイにも行くと行っていた。
よい日本の旅をと行って別れた。

ホテルについて、ベッドに横になっているといつの間にか寝てしまい、結局起きたのはなんと3時間後だった。
慣れない土地で知らないうちに疲れが溜まっているのだろうか。

しばらく部屋でアメリカのテレビ番組を見たり、PCを触っている内にまたまた小腹が減ってくる。
大好きなクラムチャウダーが頭に浮かび、ピア39の人気レストラン、Fog Harbor Fish Houseに行くことにした。
夜が更けた海沿いをプラプラとのんびり歩く。

観光地ということもあり、家族連れやカップルが数多く歩いていた。
やはり人気店。平日にも関わらず、Fog Harbor Fish Houseはほぼ満席だ。
パンをくり抜いた器に入ったクラムチャウダーは多くて間違いなく食べられないので、カップでクラムチャウダーを注文。

そして、初挑戦。
ボイルしたカニを注文した。
これぐらいなら食べられるだろう。
ビールはFog Harbor Lagerを頼んだ。
少し苦味が強いがなかなかいける。

ビールより先にクラムチャウダーが来たので、ビールを待って手をつけずにいると、店員が心配して、クラムチャウダーは出してOKだったか?と聞いてくる。
問題ないと告げると安心した様子だった。
ようやくビールがやってきて、ぐびっと飲んだ後に、クラムチャウダーを口に運ぶ。
うん。やっぱり美味い。
一番最初に食べた屋台店のものより、格段にうまい。
クラムチャウダーをたいらげるころ、カニがやってきた。
そして、再びアメリカの恐ろしさを身をもって知ることに。
カニ一匹が来るかと思いきや、ボイルしたポテトとブロッコリーが山のように載っている。
野菜がたっぷり食べられるのは嬉しいが、カニもだいぶ大きい。

ビールをおかわりして奮闘したものの、やはり半分しか食べられなかった。
カニは、ジューシーさと柔らかさはないが、身の味がしっかりしている。
ペンチ状の道具で殻を割ると身がスポッと抜けた。
窓の外に見えるピアは街頭に照らされ、繋留された船が波のリズムに合わせてユラユラ揺れ動く様を浮かび上がらせる。
ぼんやりその様子を眺めて、ぼおっとする時間のなんと贅沢なことか。
僕は何故サンフランシスコが好きなのだろうか?
海の深い場所にいたカニとこのピア39で出会えたことに運命を感じずにはいられない。
そんなことを考えながら、ベイエリアの夜をただただ存分に味わうのだった。