自分で株式会社を作ってみた(第5話)を経て、法人登記手続きはいよいよ最終段階。
ここでちょっと休憩も兼ねて、社名を決めるときに、必ずチェックしておきたい作業がひとつあるのでご紹介。
自分の会社を作るとなったら、社名にこだわる人は多いだろう。
自分の想いを込める、顧客イメージを追求する、音にこだわる。などだ。
これだ!と思う社名が決まったら、法人登記する前に、その名前が商標登録されていないかチェックしていただきたい。
商標登録の有無は「特許情報プラットホーム」というホームページで確認できる。
プルダウンから「商標を探す」を選択し、これから登記しようと考えている社名で検索してみてほしい。
もし、検索結果が0件なら、なんの問題もないのだが、すでに登録商標がある場合、次はその商標が登録されている類(商品及び役務の区分)をチェック。
類は第1類から45類まである。
詳しくは特許庁のサイトに詳しく紹介されている。
(https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun9.htm)
例えば、これからあなたがやろうと考えている事業が飲食店だったとしよう。
飲食店は商標登録の第43類だ。
商標登録をチェックしたところ、すでにその名前の登録があり、さらに第43類(飲食物の提供及び宿泊施設の提供)での登録だった場合、あなたが考えている社名は辞めたほうがよい。
この場合、同じ名前で同じジャンルの商品販売やサービスを行った場合、商標権侵害になり、さらには、商標権者からその名前をを使うなと言われると使用不可となるのだ。
実際、僕のクライアントで長年地元に密着したパン屋を営んでいる会社があった。
ご夫婦で初めた小さなお店だったが、なんせ美味しい。
地元で愛され、連日繁盛していた。
しかしある日、同じ店舗名を持つ、大手の会社からその店舗名を使うなと突然連絡が来たのだ。
夫婦二人三脚で20年以上育てて来た愛着ある名称だった。
奥さんはショックを受け、体調にまで影響が出ていた。
「自分たちは今住んでいる商圏以上に拡大するつもりはない。長年地元の人に愛されてきた愛着ある名前だからこのまま使わせてほしい。」
そんなお願いをしたようだが、相手はいついつまでに印刷物から看板、WEBサイトなどすべてのものから問題の名称を削除しないと、賠償請求するとまで言って来たのだ。
正直、ただの弱いものいじめにしかみえなかった。
しかしこの場合、商標を獲得しているものの方が強い。
ご夫婦は泣く泣く、別の名前に変更した。
ただ、面白いのは表向きから旧店舗名は一掃したにも関わらず、地元では未だに旧店舗名で親しまれている。
本当に愛されるお店というのは、そういうものなのだと思う。
努力を重ね営んで来た事業体を表す社名が「商標」という落とし穴である日突然使えなくなるのは手痛い。
会社名を決める前にぜひ、特許庁のサイトで事前確認をしてほしい。
そして、法人登記と並行して、商標登録することをオススメする。
ちなみに商標も自分で登録作業をすることができる。
僕は、何度か自分で手続きした。
機会があったら、その方法もご紹介したいと思う。