飲食店こそ無駄な業務の効率化が必要[飲食店向け効率化のためのIT活用術# 1]

【記事要約】

自転車操業になりがちな飲食店において、業務の効率化は利益に直結する。コストをかけずに無駄な業務に使う時間を圧縮し、飲食店として、本来費やすべき仕事にかける時間を確保することが成功のカギと言える。

 

僕の本業はWEB関連事業だ。

システムとして全体を統括して、良い方向性に物事をまとめ上げることを仕事柄得意としているため、時にはWEBに関する業務以外のとりまとめも依頼されることが多い。

そのひとつが、飲食店の業務効率化の監修だ。

畑違いの飲食店の事業構造は、まったくもって未知の世界で一からの勉強になったが、畑違いの僕の視点からいくつかコストをかけずに無駄な業務に使う時間を圧縮することに貢献できた。

その中のいくつかをこれからご紹介したいと思う。

1.  飲食店の実情

いわゆる『繁盛店』で組織も大きな飲食店は、すでに組織として、しっかり体制ができているのだろう。

僕は、初めて飲食店の業務効率化の仕事に関わった時に、そう感じた。

だが、いわゆる個人経営レベルの飲食店の多くは、会社で言う総務、財務の業務が全く手付かずになっているのでは無いだろうか。

夜遅くまで働いて、疲れて家に帰り、翌日起きたら仕入、仕込みに追われ、すぐに客が店に来てサービスを提供する。

休みはあったとしても週1日。

休みがない飲食店ももちろん多い。

このルーチンの繰り返しにより、常にメインの業務に追われ、体制の見直しや分析、財務の数字確認などができず、売上を上げたいと思いつつも、とにかく毎日をやり過ごすことで手一杯。

まさにラットレースだ。

「数字が苦手」という理由でこれらの業務から逃げている人も多いだろう。

美味しいものを作れば、いいサービスをすれば、お客が来るかというと、事実そうではない。

グルメ大国日本では、美味しい料理と良いサービスはすでに当たり前のものになっている。

美味しいサービスと良いサービスに加え、業務の効率化と他を抜きん出る「何か」がないと飲食店として成功するのは難しくなっている。

これらに力を入れるのが嫌なら、こじんまりとしたこだわりの店で、常連に頼るしかないだろう。

これが今の日本の飲食店の実情だ。

 

2. まずは数字を見つめる

僕が関わった2店舗を営む個人事業の飲食店を紹介しよう。

オーナーの話を聞くと、ずっと赤字続きで、借金を重ねるばかりで、このままでは成り立たない。

何かしら打開策を打ち立てたい。ということだった。

努力により、仕入と人件費は一般的に理想と言われている売上の3割にそれぞれ抑えられている。

しかし、何故か利益が残らないというものだった。

そこで、財務関連の資料を見せてもらうと、数字の「事実」が全く分からない状態だった。

オーナーに至っては、PLやBSの財務諸表の味方すら分からない状態だった。

出納帳と売上日報は付けているということだったが、それらの資料はあくまで記録で、これまでの経過観察とこれからの指標のためには全く使えない状態だった。

そこで、僕は過去1年分の財務を月毎に徹底分析し、どの月にどれだけの売上が見込め、また支出があるのかについての資料を作った。

コストは、水道光熱費、給料、仕入、消耗品、借入返済、広告宣伝費、管理諸費、家賃、リースなどを事細かく仕分けした。

飲食店は、月によって売上の波が大きい。

また、月によって、水道光熱費などのコストの波も大きい。

オーナーはあと10万円売上がそれぞれ2店舗で増えれば、大分楽になると言っていたが、事実は全く異なった。

10万円どころではない。月によっては、数十万円アップが必要だったのだ。

結局、オーナーの思い込みの部分が多く、事実として現れる数字を明確化して提示すると、唖然としていた。

数字を明確化して、まずは出血を止めるために、省けるコストはとことん省くことを勧めた。

無駄な広告宣伝費と思われるものに関しても、まずは一旦ストップして、戦略を練り直すことを勧めた。

業務効率化のためにもいくらかコストが必要になる場合がある。

だからこそ、まずは数字を見つめて、現実を知り、無駄なコストを視覚化して、スリムになったところで、業務効率化にいくらかけることができるのかを見極める必要がある。

そのためにも、まずは数字を見ることが大切なのだ。

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