V字回復を果たすために僕がまず行ったこと。
それは、コストをとにかく削ることだった。
コストがかかっているものの本質は大きく次の3つに分けられる。
(1)事業を行うためには、絶対に必要なもの
(2)事業を行うにあたって、あったら便利だが、なくてもいいもの
(3)なんとなく買った(契約した)が事業を行うにあたって、無くても特に困らないもの
僕は、(2)と(3)を全てなくした。
(2)にあたるものは次のようなものだ。
①オフィス(会議室、デスク、椅子、棚)・駐車場
オフィスにかかる費用は、月々かなりのコスト削減になる。
オフィスを解約する代わりに、仕事スペースを自宅に設けた。
僕にとっては、起業当初のスタイルに戻し、初心に帰った形になった。
②電話・FAX
また、この頃から、仕事のやりとりに電話を使わないということを徹底した。
やりとりは、チャットやメールを使用する。
今では、電話を使うのは家族や友人くらいだ。
③自社サーバ
無料で高機能のASPサービスが今ではたくさんある。
月々コストがかかるサーバは解約した
もっとたくさんあったと思うが、とにかく、なくても事業はできるというものは、徹底的に除去した。
そして、
(3)「なんとなく買った(契約した)が事業を行うにあたって、無くても特に困らないもの」にあたるものは、頼まれて契約した保険や、団体の会費などだ。
これらを全て解約した。
要は、つきあいで手を出したもののコストをすべてなくしたのだ。
(2)と(3)を徹底することにより、月ベースで250万円のコスト削減を計った。
だが、ひとつだけ、今でも心に深く「悔み」として残っている事がある。
それは、結果的に断捨離のひとつになってしまった社員の解雇だ。
経営者としては一番避けなければならない社員の解雇もある意味、この断捨離のひとつになってしまったことが、僕にとっては生涯、3本指に入る懺悔的出来事だ。
世の中には、苦境に陥っても絶対に社員は解雇しないと信念を持って経営者を努めている人や会社が沢山ある。
そんな中、僕は社員の給料の支払いを遅らせ、さらには八方塞がりになり、解雇せざるをえなかった。
非常に情けなかった。
情けなくて仕方がなかった。
僕の能力不足で、みんなに迷惑をかけてしまった。
そのことは、今でも僕にとって、十字架を背負う記憶となっている。
最終的に僕の元に残ったものは、自宅のデスク、椅子、ノートパソコン、デスクトップ、文房具、複合機ぐらいだ。
おかしなことだが、僕はたったこれだけのモノでV字回復の上り坂を登りきったのだ。
それは、もちろん簡単な道のりではなかった。
月ベースで250万円のコストを削減したとは言え、複合機利用料、ASPサービス(ドメイン・サーバ・各種サービス)利用料、携帯代金、厚生年金、交通費、ガソリン代、外注費など月20万円程度のコストは必ずかかり、さらに抱えた負債の返済が月50万円程度あった。
つまりは、月々70万円以上最低でも稼がなければならない。
だが、実際は生活もその他の突発的な必要経費も必要になる。
だから余裕をみるとすると、月100万円以上の利益が必要だったのだ。
売上100万円ではない。利益が100万円以上だ。
3年で負債を0を達成するためにはこれが必須条件だった。
結果として、計画通りとは行かなかったが、4年ちょっとで達成することができた。
財務を徹底的に見直す話に関しては、こちらの記事にも書いたので、是非参考にしてほしい。