メッキをまとわない[起業話#14]

20代や30代前半もしくはそれ以上の年齢でも、特に起業したてのホットな人間というのは、やる気に満ち満ちていて、いわゆるギラギラしている状態の人間が多い。

同年代の起業家の集まりや飲み会があったりすると、まー、ギラギラしているね。

「自分のところはこんなに儲かっている」

「あいつの会社はこんなことをしたから業績が下がったんだ」

「これからやる事業がハンバ無くうまくいきそう」

そんな話でもちきりだ。

まあ、起業家、社長、というのは基本的に一般人と比べて、失礼ながら変わった人が多いので、これくらいは別にいいとは思うのだが、僕がいつも懸念するのは自分にメッキを付けないようにすることだ。

どういうことかというと、事実以上に自分を上に見せないということだ。

実際は、自信がないのに自信があるように振る舞ってみたり、お金が火の車なのに儲かっているように見せたり、事業がうまくいっていないのにうまくいっているように見せることだ。

当然、バカ正直にこれらを話すのもNGだ。

バカ正直に話したところで、悪い噂が広まって顧客離れや業績不振に影響するのがオチだ。

だが、必要以上に『上』に見せたところで、そのメッキは直ぐに剥がれてしまう。

一時的に、騙くらかすことはできるかもしれないが、結構そのメッキというのは、すぐに剥がれてしまう。

だけど、特に男性は自己顕示欲が強い。

社長の尺度というものは、会社の規模や従業員の数、年商や自分自身の年収になってくるため、それらの話題になった時に、強がったり、事実以上に大きく見せることが多い。

だが、僕はこの点をできるだけ自制した。

煽られれば「いやいや僕だって!」という気持ちも出てこないわけではないが、そんな気持ちに負けて自分を強く、大きく見せたところで、得することがあまりない。

実際、自己顕示話の結果、「わーすごいですね!」なんてヤンヤヤンヤ周りから持ち上げられていたのにある日突然、会社が倒産したり、社長がどこかに雲隠れして居なくなってしまったりということが往々にしてある。

あれ?昨日までなんか、スゴイこと言ってなかった??えー??

なんてことがこれまで何度もあった。

だから、僕は『謙虚さ』というものを自分自身に叩き込んで来た。

自己顕示欲は生意気にも見られかねない。

同世代や年下の人間からは憧れとして映るものも、年上からはタダの生意気にしか映らない場合もある。

もちろん、そのくらいギラギラしている方が面白いね!という年上の先輩たちもいるが、得より損することのほうが多いのではないだろうか。

起業して、「社長」と呼ばれ出すと、どんな人間でもちょっと勘違いしてしまうことがある。

もし、あなたがこれから起業するのなら、その勘違いから生まれるギラギラやメッキに是非気をつけて、客観的に見てもらいたいと思う。


メッキをまとわない[起業話#14]メッキをまとわない
[起業話#14]