その頃、僕は自信過多になっていたと思う。
売り上げを年々伸ばして、社員も4人雇って、オフィスも構えて、名も売れてきて、自信が存分についてきていた。
確かによくやっていたとは思うが、そんなのは今思えば序の口だ。
だが、周りからも若手なのにすごいだとか、憧れてくれる年下の人間が増えて来ると、どうやら勘違いをしてしまったらしい。
当然、起業当初は謙虚の塊のようだったのに、謙虚さが完全に抜けていた。
今、一番後悔していることは、当時お世話になった方に不義理といえる行為をしていたことだ。
もちろん悪気はなかったのだが。
毎日毎日、たくさんの人と出会い人脈ができていた。
本来であれば、途中を繋いでくれた人や、紹介してくれた人に、
「○○さんのおかげで…」とか、
「○○さんのご紹介で知り合った、あの方と…」など、
何か事が進んだ時や、あたらしく依頼をいただいた時は、筋を通したり、お礼を伝えるべきだ。
だが、僕はそれを怠っていた。
仕事を取れたり、新しい繋がりを生かすことができているのは、自分の能力のように勘違いしていたのだ。
一度先輩から、それを遠回しに咎められた時に、僕は反発的な言動と態度をとってしまった。
今思えば、それが恥ずかしくてしょうがないし、その時の先輩に大変申し訳ないと思う。
たくさん、痛い思いをして、起業して10年以上経った、今になってみれば、謙虚さと感謝が何よりも大事なことが痛いほど分かる。
だが、若気の至りとは言え、僕はそういう人間になってしまっていた。
ここが起業してからのターニングポイントのひとつだと思う。
少し、成長できた時に、変わらず謙虚さと感謝の気持ちを持ち続けられるか。
簡単なことにも思えるし、口で言うのはたやすいが、実際は多くの人間がここで間違った方向に言っているように思う。
ここでしっかり、謙虚さと感謝を持ち合わせていられるかが、起業後、成長し続けられるかのターニングポイントと言っても過言では無いと思う。