参入タイミングというもの[起業話#10]

僕は流れで個人事業を起こし、営業するまでもなく、お仕事をいただき、海と仕事の両立をするために事務所を借り、それはそれは順調だった。

前にも書いたが、それは、僕が優秀だったからとか、仕事ができるということはまったくなく、周りの人や仕事を紹介してくれた人、若手をサポートしようという気概のある方々のおかげ以外の何物でもなかった。

また、さらに重要だったのは、右肩上がりの業種だったということだ。

起業やお店がホームページを持つことが当たり前になりつつあった時代。

地方には東京の流れが1、2年遅れてやってくることから、僕の地元では、ちょうどその波が来ている時だった。

当時、調べたときにはホームページの制作をするとうたっていたのは地元の印刷業者や、映像制作の会社などで、その会社も殆どは外注に出していた。

その外注に出す先で、本当に制作をしてる会社というのが、本当に数えるほどだったのだ。

そのような状況の中、僕は東京で、しかも航空会社のWEB事業という一応WEB業界の最先端を見てきていたと思う。

だからこそ、提案内容や、アドバイスはとても受けた。

今では、個人から法人までWEB制作を請け負う会社はたくさん存在する。

だから、今の時点で参入するとなると競争相手も多く、価格競争も生まれ、なかなか大変だっただろう。

だが、僕が始めた頃は、ほとんど言い値で仕事が取れた。

むしろ、個人でやっていた僕は安い!と感謝されるほどだったのだ。

狙った訳ではなかったが、参入タイミングがばっちりヒットしたのだ。

もし、あなたが今起業を考えているのであれば、その事業内容の参入タイミングが重要になってくる。

これから伸びるであろう新しい業種だったとしても、早すぎれば世間は見向きしてくれないため、最初から仕事がとれずにつまずいてしまう可能性がある。

逆に長年存在する成熟業種であれば、それなりのビジネス戦略が必要になってくる。

例えば、税理士として起業を考えているのであれば、税理士は長年存在する業種だ。

すでに多くの起業はお抱えの税理士法人と契約をしているだろうし、新規顧客をゲットするとなると新しく起業や独立する人を狙うしかなくなってくる。

ただし、それだけでも顧客を増やせないとなると、いま存在する企業が、現在契約している税理士を振り切ってまでこちらを向いてくれる何かが必要になってくる。

それを、どう伝えるか、どう表現するかということまで重要になってくる。

起業するときには、今、自分の業種の成熟度がどの程度で、社会からの要望度がどの程度化を把握し、それらの条件を踏まえて独自の戦略が必要になってくる。

僕は、そんなことも知らずにのん気にやっていたなとつくづく思う。

自分の業種の参入タイミングを客観的に見つめ、確実に詰められる戦略を立てることは倒産しないための必要不可欠条件なのだ。


参入タイミングというもの[起業話#10]参入タイミングというもの
[起業話#10]