株式化すると同時にアパートの一室の事務所から、「オフィス」へと引っ越した。
正直僕としては、これまでどおり、アパートの一室の事務所で十分だったのだが、出資者から、事務所の「見た目」も大事ということで、オフィス物件への引っ越しを進められたのだ。
更に、引っ越すだけでなく、内装を入れ、WEB制作事務所らしくオシャレに、家具も内装に合わせて調達した。
これも出資者からのアドバイスだった。
結局、コストは300万円以上かかった。
正直、出資金がこれで全部飛んだくらいだ。
その他に、株式登記のために20万円、行政書士や税理士に支払う金額が10万円以上など、とにかくお金がかかった。
しかし、そのコストをかけた分のリターンがあると、その時は考えたのだ。
実際、若手でりっぱなオフィスを構えたことで、口コミの知名度は少し上がったと思う。
これまでは、来客があっても、アパートの空いている畳の部屋で、ちゃぶ台での打ち合わせだったが、きちんとミーティングルームも、さらに応接室も準備した。
そして、当初1人だったスタッフは、引っ越しの頃には2人になっていた。
事務スタッフが必要だったのだ。
そのため、引っ越し当初は僕を含めて3人だったが、いずれまた人が増えるだろうということで、5人分のデスクをオリジナルで制作した。
ドアを開けてすぐに、エントランスを儲け、オリジナルのデスク5人分に、デスクに合わせた椅子。
壁紙も床材もすべてオリジナル。
デザインに合わせた収納棚、打ち合わせスペースのテーブルと椅子もオリジナル。応接室のソファーもテーブルも何もかもがオリジナルだった。
お金がかかるわけだ…。
だが、デザインもしていた僕は、自分の世界観で作り上げた空間にとても満足していた。
自分の世界観満載の空間で、仕事に打ち込める。
それが幸せだったのだ。
起業してから3年立たないうちに、ここまで成長できたことに、大分自信をもつことができた。
なかなかできないことだということを周りからよく言われた。
この時から、僕はさらに仕事人間になった。
そして、この頃にはすでにサーフィンからは遠のいていた。
オフィスが街中になったため、海からも離れてしまった。
仕事が生きがいになっていた。
仕事さえしていれば、自分は正しいことをしていると思っていた。
これが、良いことなのか、悪いことなのか、という話ではないが、着実に変化をしていたのだ。