ストレスは簡単には、抜けない[エピローグ:V字回復上り坂]

最近「失感情症(アレキシサイミア)」という言葉を知った。

今から思えば、V字回復の坂道をよじ登っていた時期に、僕はこの症状だったのではないかと思う。

V字回復ストーリーについてはこちら>>

失感情症(アレキシサイミア)とは、自分の感情を意識できず、感情を言葉や態度によって表現しにくい状態のことだ。

原因は過剰なストレスだ。

つらい感情を意識しにくいため、周りに助けを求めたりせず、頑張り続けてしまうことがあるらしい。

だが、そうだったとしたら、その頑張り続けることでV字の坂道を登れたのかもしれないが。

だが、この症状の場合、体にも変調がでる。

実際、僕はV字の坂道を登り切る最終段階で入院し手術をしなければならないほど、体に異変が起きていた。

幸い悪性ではなかったが。

自覚症状がなくても、体は正直だ。

体にかかった重い負荷は、日に日に蓄積されて、それらは身体のどこかに現れ出すらしい。

そして退院後、ようやく全ての借金を返し終わり、ようやくまた新しい0地点に戻ることができたとほぼ同時に、13年一緒に連れ添った愛犬が亡くなった。

まるで、辛い時期の僕を支え終わったかのようにだ。

僕が退院してから急激に体調が悪化し、入院させたが、衰弱があまりに激しく、病院での最期を不憫に思い、自宅で点滴を打ち、つきっきりで看病し、看取った。

僕にとっては、この上ない悲しみだった。

それを期に以前からひどかった肌荒れがさらに悪化し、ひどいことになった。

それから半年後、ビジネスが0地点に戻ったことにより、ようやく日々の生活を楽しみながら過ごせるようになり、ある日ふと、ようやく自分がストレスを感じていたことを自覚した。

それまでの0地点からの半年間は、焦燥感が抜けず「何かやらなければ」という焦りがつきまとっていた。

自分がストレスを感じていて、とても疲れていたことが自覚できたら、一気に気持ちが穏やかになった。

ストレスはすぐには抜けないらしい。

ストレスへの耐性も必要だが、ストレスを感じている自分に気づくことも、もっと大事だ。

だが、もしかしたらV字の坂道をよじ登っている最中のような状況の時には、ストレスに鈍感であることも必要なのかもしれない。

とにかく、うまくコントロールすることが、その時々の状況を自分の味方につけることができるのだと思う。


ストレスは簡単には、抜けない[エピローグ:V字回復上り坂]ストレスは簡単には、抜けない
[エピローグ:V字回復上り坂]

晴れてV字回復 [V字回復上り坂#10]

V字回復上り坂#1〜11に書いた様に、V字の坂道を登りきるために僕が実践したことは至ってシンプルだった。

・無駄を無くす

・効率化を徹底的に追求する

・人として正しい行いを貫く

そして、

・諦めない

これだけだ。

時として、崖っぷちになると人は豹変する。

そんな状況を幾つも見てきた。

僕も、人でなしになる可能性は、いくらでもあった。

でも、僕は人を貶めたり、裏切るようなお金儲けの仕方は絶対にしなかった。

古い言い方で言えば、筋と仁義は必ず通した。

V字の坂道を下っている途中、そして登っている途中も、「人としてどうなの?」と呆れたり、腸が煮えくり返ることが何度かあったが、その相手方も後からよくよく考えるとかなり切羽詰まっていた。

経営者なら多くの人が知っていて、ファンも多いとても著名な人と仕事をする機会もあったが、「最悪」の一言につきた。

恩を仇で返すようなことばかりしているその人は、人として全く信頼できなくなったので、とっとと縁を切った。

有名だから「いい人」「凄い人」というのはダタの妄想で、表向きの顔と裏向きの顔があることを学んだ。

その詳細を書けばまた面白い話になるのかもしれないが、ここでは差し控える。

言いたいのは、そう言った人たちのように、人として間違ったことをしていると、いつまでもV字の坂道は登りきれない。

実際、それらの人たちは多額の借金まみれだった。

表向きはお金持ちに見え、たいてい自分に従えば、お金を稼げるといったことを吹聴する。

そして、その甘い声に誘われて、周りにまた必死な人が群がる。

だが、結局人間として貧しいので、今でも、事業がうまくいかず、あがきもがいている様子。

ひどいことをされたり、ひどいことを言われたりしたが、僕は「何言ってんだバーカ。」くらいの勢いで、そういう人たちとは即縁を切った。

よくないモノを持っている人たちといると、例え報酬がもらえるとしても、その呪縛が気持ち悪かったのだ。

だから、まだ借金が残っていたとしても、人としてどうなの?と疑問がつく人間とは即縁を切った。

自分の信念に沿って、諦めずに努力した。

そうして、無事にV字の坂道を登りきることができた。

もちろん、僕が頑張ったから登りきれたのではない。

家族やよき仕事仲間、そして僕を必要としてくれたお客様があってこそだ。

だから、僕は考える。

自分を捨てずに、ブレずに、ひとつひとつが大切だと。

 

あと、実際V字の坂道を登りきることができたから言えることだが、本当にいろんな事を学んだ。

普通にどこかの会社に努めて、給料を貰って生活していたとしたら、絶対に学べないことをたくさん学んだ。

「勉強代」とは良く言ったものだが、本当にそうだと思う。

そして、それらを糧にこれからまた面白い人生が歩めそうだ。


晴れてV字回復 [V字回復上り坂#10]晴れてV字回復
[V字回復上り坂#10]

精神を保つ [V字回復上り坂#9]

僕がV字の下り坂を下りきって、一番底にいる頃、家族はもしかしたら僕が鬱や精神的に参っているのではないかと心配していたかもしれない。

そのくらい、僕は落ち込んで元気がなかった。

自分でも心配をかけているなと、感じつつも、気持ちが沈んでしようがなかった。

朝から晩まで一心不乱にPCに向かい、睡眠時間2、3時間の毎日、忙しいときには3日徹夜、寝食とトイレ、風呂以外はとにかくPCにかじりついている姿は異様だったことだろう。

だが、そこまでしなければ、僕はV字の底から這い上がることができなかったのだ。

とにかくもがいていた。

うまくV字回復できるかどうかなんて、まったく確信がなかった。

もしかしたら、破産手続きを踏まなくてはならなくかもしれない。

その可能性は大いにあった。

V字の坂道を下っている最中には、たくさんの裏切りにもあった。

正直、今でも簡単に人は信用しない。

「銀行は雨が降っている時には傘を貸さない」その言葉は以前からよく聞いていたが、本当にその通りだった。

雲行きが怪しくなると、あれだけ熱心に来ていた銀行マンは波が引くようによりつかなくなった。

厚生年金や、税金を払う力がなく滞納していたため、それらの機関からはヤクザの取り立てのような取り立てがあった。

特に厚生年金は、ひどい。

様々な問題を起こしている上、今後の運用も明確でないのになぜあれだけ強気の取り立てができるのか理解できない。

厚生年金も、消費税もそうだが、職員は「預かっているお金だから無いわけがない。預かったお金を使い込んだ」という言い方をする。

だが、実際そうではないことは経営をやってみれば一目瞭然だ。

ある意味、経営者というのは社会で一番立場が弱い人間かもしれない。

今は払える資金がない。だが、払う意志はあるから今、事業を必死でやっているのだと言っても、ある日突然銀行口座の差し押さえをしてくる。

僕も一度やられたが、借り入れがない銀行だったのが、不幸中の幸いだった。

借り入れがある銀行だったら、銀行からは一括返済を求められたことだろう。

こちらのビジネスなんてお構いなしだ。

税務署はまだ良心的だから、今でも分割返済の対応など感謝しているが、厚生年金は今でも嫌いだ。

その他にも、とにかく色んな酷いことが立て続けに底辺の直には多発した。

悔しくて、床に腕をつき、声を押し殺して泣いたこともある。

惨めだった。

だが、僕は折れそうな心をなんとか保って、一歩一歩少しずつでも進み続けた。

とにかく諦めなかったのだ。

底辺の時点では、とにかく出口が見えなかった。

でも、歩き続けるうちにほんの僅かに出口の明かりが見える気がした。

さらに歩き続ける内に、希望が湧いてきた。

そして、さらに出口の明かりに向かって歩きつづけて、やっとの思いで借金を全額返済し、ようやく再びスタート地点に立ったのだ。

その過程が、V字回復の坂道が辛すぎて、坂を登りきった時の感動というのはおかしなものだが、特になかった。

ようやく背負うものがなくなり、伸び伸びと仕事が、生活ができる。

ただそれだけだった。

だが、V字回復の坂を登ることで学んだことは「精神を保つ」ということだった。

イキりすぎても、怖気づいてもダメなのだ。

 

モチベーションアップのセミナーに行って、自分自身を盛り上げる必要なんてまったくない。

それこそ、アップダウンが激しすぎて反動が大きく、そんなものに時間とお金を費やすほうが馬鹿げている。

今、注力すべきは、そこではないのだ。

とにかく、一定の水準を修行僧のように保つ。

ただそれだけだった。

そして、ひとつひとつとにかく進むこと。

これだけだ。


精神を保つ [V字回復上り坂#9]精神を保つ
[V字回復上り坂#9]

安価で高機能のASPサービスを活用しまくる②[V字回復上り坂#8]

引き続きオススメのクラウドサービスをご紹介

<ビジネスチャットツール>

『chatwork(チャットワーク)』

http://www.chatwork.com/ja/

僕にとっては、このツールがないと仕事にならないと言っても過言ではない。

チャットワークは、単に情報や意見のやりとりをするための道具ではなく、チャットワークを使うことによって、いくつもの会議が同時進行しているようなイメージだ。

通常の会議は、同じ場所に集まって、時間を拘束され、その間、その会議のことしかできない。

しかし、チャットワーク使って、プロジェクト毎にグループを作り、チャット上でやりとりをすれば、あえてミーティングの時間を取る必要もないし、スピーディーにプロジェクトが進行する。

文字データでのやりとりに限界がある場合は、ビデオチャット機能を使い、遠方のメンバーとも顔を見て話ができる。

何時間も時間をかけて、結局話がすすまない退屈な会議で時間を潰されたり、出張して遠方の会議に出席する必要もない。

時間とコストを要約して、最大限のパフォーマンスを生み出すことができる。

そんなツールなのだ。

タスク管理やファイル送信ももちろん可能だ。

chatworkの使い勝手の良さと、chatworkによる時短とコスト削減、パフォーマンスの向上を実感してしまうと、メールなんて使えたものじゃない。

 

<名刺管理>

『Eight(エイト)』

僕はあまり人に会わないことを自分のスタイルにしているので、名刺交換をする頻度は、一般的なビジネスマンに比べるとはるかに少ない。

だけれども、全く名刺交換しないわけではない。

かつて、さまざまな勉強会やセミナーに出ていた頃は、毎日のように何十枚という名刺交換をした。

たしかに、ビジネスの成功のひとつの要因は人脈だ。

だから、いただいたご縁は大切にするべく、出会って名刺交換した人の情報はいつでもどこでも引き出せるようにしておいた方がよい。

ただ、何千枚も名刺がたまって、それを日々ファイリングして、欲しい時に、ファイルの中から該当の人の名刺を探し出すという行動は僕にとっては苦痛でしかない。

そのため、名刺管理ソフトのEight(エイト)がおすすめだ。

Eightは名刺の写真を撮って送信するだけだ。

無料で使える上、オペレーターが手入力してくれるので、情報も性格。

もちろん検索もすぐにできる。

データをダウンロードしたければ、月額400円を払えばよい。

安価な上に、機能も充実。

自分でファイリングしたり、名刺上のデータをパチパチ打ち込む必要もない。

Eightに入力した後には、いただいた人にはちょっと申し訳ないが、破棄させてもらう。

もちろん個人情報なので、確実に原型が残らない方法で。

こうすれば、もらった名刺でオフィスのスペースを占領されることもなく、効率よくご縁情報の管理ができる。

 


安価で高機能のASPサービスを活用しまくる②[V字回復上り坂#8]安価で高機能のASPサービスを活用しまくる②
[V字回復上り坂#8]

安価で高機能のASPサービスを活用しまくる[V字回復上り坂#7]

効率よく、自分のリソースを最大限にフル活用するために、強い味方になってくれるのが、WEBを使ったクラウドサービスだ。

「僕のカバンには紙とペンが入っていない」の話にも関連してくるが、

僕のカバンには紙とペンが入っていない[V字回復上り坂#5]

僕のカバンには紙とペンが入っていない②[V字回復上り坂#6]

ここでは、「僕のカバンには紙とペンが入っていない②[V字回復上り坂#6]」で紹介した以外のクラウドサービスを紹介したいと思う。

いいクラウドサービスは、コスパも良く、時短にも繋がる。

しかし、中には使えない割には、高額なクラウドサービスもある。

悪質なものは、リースを組まされ、がんじがらめにされることもある。

しかし、僕の過去の経験からして、月数万円もするような高額なWEBサービスでいいものに出会ったことがない。

途中で「このサービスは使えない」と気づいても後の祭りだ。

リース契約なので、契約したお金を支払いきるしかないのだ。

どうあがいても解約することができない。

だからこそ覚えていただきたいのが、優秀なクラウドサービスは低コストで使い勝手がいいということだ。

良いサービスは、多くのユーザが使っていたり、出資者が多いため、ユーザーのコスト負担が少ない。

くれぐれも、最終的に何百万も払わされるようなサービスや、支払いがリースといったようなサービスは利用しないで欲しい。

(僕は、過去に何度もクライアントからこの手の相談を受けた。)

 

 

<会計ソフト>

『マネーフォワード・クラウド会計』

弥生会計やTKCの会計ソフト「FXシリーズ」など、様々なソフト(インストール型)がこれまで席巻していたが、僕は断然マネーフォワードの法人向けサービス「クラウド会計」をオススメする。

無料アカウントが最初に作ることができるので、お試しすることも可能だ。

マネーフォワードの入力は、僕の個人的な感想としては、とっても簡単だ。

ユーザーインターフェースもよくできていると思う。

もちろん、会計の知識が無くては、ログインしてもチンプンカンプンだと思うが、経営者たるべきもの、マネーフォワードくらいは使いこなせないと、今後の経営は難しいと言っても過言ではない。

会計知識がないがために、面倒くさい、よく分からないという理由で会計士に丸投げをする経営者もいるが、そういった経営者は数字の流れが見えず、窮地に追い込まれることが殆どだ。

かつての僕が実際にそうだったから、断言する。

クラウドサービスなので、会計士のPCにデータ移行という手間も必要ないし、アカウントでログインすれば、どのデバイスからでも同期した情報を確認することができる。

僕はライトプランなので、月額1,980円だ(安い!)。

マネーフォワードには毎日アクセスし、財務状況を確認する。

会計士と顧問契約すれば、安くても月額15,000円以上はするだろう。

だから、日々の入力は自分で行い、四半期または半月毎に会計士にチェックしてもらい、あとは決算だけまとめてもらう契約にしておけば、かなりコストが削減できる。

マネーフォワードがクラウド会計ソフトとしては、NO.1だが、その他に「Free」などのASPサービスもあるのでコストや画面デザインなど、好みにあったサービスを選んでもらえたらと思う。

次回引き続き、使えるクラウドサービスを紹介していきたいと思う。

僕のカバンには紙とペンが入っていない②[V字回復上り坂#6]

前回、仕事全般で使うツールのIT化によって、効率的に仕事ができる環境を整え、時間と自分のリソースを有効に使うことについて触れたが、今回はその続きについて。

僕のカバンには紙とペンが入っていない[V字回復上り坂#5]

僕は徹底的に仕事の道具や環境をIT化することによって、時間のムダをとにかくなくすことを追求した。時間のムダをなくせば、本来の売上を上げるための時間に集中することができる。

<スケジュール管理>

これは、もうすでに使っている人がだいぶ多いと思うが、Googleカレンダーを利用している。

以前は、僕も手帳を作り、オリジナルの手帳用紙とオリジナルのシステム手帳ケースを作るほどのこだわりようだった。

オリジナルの手帳用紙には、ToDoリストと一日のタイムスケジュール、繰り返しの予定などをカラーペンを使い、書き込んでいたが、これらはすべてGoogleカレンダーで実現できる。

手帳に書くということが楽しかったため、Googleカレンダーが出来てからもアナログの手帳を使い続けていたが、カバンが重たくなることと、手帳を持っていない時にすぐにスケジュールを確認することができないため、Googleカレンダーに移行した。

Googleカレンダーであれば、携帯やPC全てで予定が自動的に同期できる。

ビジネスマンには絶対的に必要なツールだと思う。

 

<書籍>

これも多くの人がすでに活用していると思うが、書籍を読む時はAmazonのKindleを使用する。

以前は、隙間時間に読むために、カバンの中に書籍を突っ込んでいた。

特に、V字の下り坂を下っている最中、書籍類をむさぼり読んでいた時は、2,3冊入っていたかもしれない。

だから、僕のカバンは筋トレしているのか?というくらい重かった。

紙の本でないと内容が身に沁みないという声も時折聞くが、僕はそれは「気のせい」だと思う。

書籍に書かれている文字や絵、写真は言ってみれば「信号」で、それが描かれている素地が紙であろうが電子機器であろうが、同じ信号であることには変わりがないからだ。

だから、僕も最初は紙の本派だったが、ある日、機会があってKindleを体験してからは、Kindleに乗り換えた。

もちろん、紙の本に蛍光ペンを引くようにハイライトをつけることもできるし、角を折るドッグイヤーも可能だ。

 

<お金>

東京では、クレジットカードや電子マネーが利用できる店舗やサービスが発達しているが、地方ではまだまだ現金が必要なシーンが多い。

だが、電子マネーが発達した今、財布はもはや必要ないのでは無いかとも思う。

3月にアメリカへ行った時、現金5万円を念のためドルに変えてもっていたが、使い切るのに苦労した。

そんな状況がもうすぐ日本を席巻するのでは無いかと思う。

僕は、カードで乗り切れることが分かっている時は、カバー付きの携帯ケースのポケットにクレジットカードと電子マネーを入れて財布を持たず、出かけることが多い。

 

カバンの中から、ノート、紙資料のファイル、分厚い手帳、書籍、財布が無くなったら、かなり身軽になる。

ただ、軽くなるだけでなく、それらの情報にいつでもどこからでもアクセルできることによって、仕事の効率化が進む。

こんなにいいことはないと僕は思う。

シンプルで、効率的なスタイル。

これが、僕にとってはV字の上り坂を登る後押しをしてくれたのだ。


僕のカバンには紙とペンが入っていない②[V字回復上り坂#6]僕のカバンには紙とペンが入っていない②
[V字回復上り坂#6]

僕のカバンには紙とペンが入っていない[V字回復上り坂#5]

V字の上り坂を登り始めてから、効率化を徹底的に追求してきたのは前述の通りだが、その中のひとつが紙をペンをもたないということだ。

つまりは、仕事に使うツールをIT化するということだ。

元々WEB関係の仕事をしていたためパソコンを使いこなせるという要素がこれを可能にしたというところがあるが、ブラインドタッチができる人であれば、ITツールを少し研究するだけで、ツールのIT化は可能だと思う。

<ノート>

クライアントとの打ち合わせのメモはすべてPCに即叩き込む。

もちろん録音して後から文字起こしということもしない。

それをやっていたら、打ち合わせの時間と文字起こしの時間が重複してかかってしまう。

会議の内容は、基本的にマインドマップソフトを使い、マインドマップに落とし込む。

それを議事録としてPDF形式で保存し、打ち合わせ相手にも送れば、議事録として残せる。

その他、Evernoteを使っていつでもどのキャリアからでもノートが閲覧できるようにしておくのも便利だ。

なお、打ち合わせで内容をPCに打ち込む際に注意したいことは、画面を見ながら打たないということだ。

もちろんブラインドタッチだ。

画面を見てしまうと、そうでなくても相手は「自分の話を聞いてない」「真剣に聞いていない」という印象を抱きがちだからだ。

 

<ファイル>

クライアントやプロジェクト毎の資料もすべてデジタル化にする。

資料や素材を紙や印刷写真として受け取った場合は、スキャンするか写真をとって、保存すれば、分厚い資料を持ち歩く必要もない。

そしてすぐに返却できる。

僕はクライアント毎にフォルダを作り、さらにその中に案件ごとのフォルダを作っている

 

例)日の丸株式会社の場合

HI0001_日の丸株式会社

 −01DOC(書類関係。契約書や各種サービスアカウント情報など)

 −02DATA(クライアント案件全般で使える素材データ。ロゴや企業外観など)

 −03PICS(クライアント案件全般で使える加工データ。基本的にPSD [フォトショップデータ])

 −04PRINTDATA(クライアント案件全般で使える印刷物データ。基本的にAI [イラストレーターデータ])

 −SITE (WEB構成ファイル(html、phpなど))

さらにこの中に開発案件毎のフォルダを入れる。

HI0001_1_日の丸株式会社ホームページ制作

HI0001_2_日の丸株式会社パンフレット制作

開発フォルダの内容は、下記のような構成だ。

01_doc(書類関係。見積書や請求書、スケジュールなど)

02_data(受け取った素材データ)

03_pics(基本的にPSD [フォトショップデータ])

04_printdata(印刷物データ。基本的にAI [イラストレーターデータ])

これは上層のフォルダ構成と似ているが、開発毎のファイルを入れる。

このように、フォルダ構成を決めておくととても便利だ。

自分の事業に合わせて是非調整してほしい。

SugarSyncやGoogleDrive、Dropboxなどさまざまだ。

ある程度の容量までは無料で使えるものもあるし、例えコストがかかるとしても月数百円と非常に安価だ。

 

このように、ツールのIT化をするだけで、かなりスッキリ身軽になり、スマートに仕事をすることができる。

最初慣れるまでは大変な人もいるが、慣れてしまえばこっちのもんだ。

業務スピードが2倍、3倍にも早くなり、時間が生まれることを実感してもらえると思う。


僕のカバンには紙とペンが入っていない[V字回復上り坂#5]
僕のカバンには紙とペンが入っていない
[V字回復上り坂#5]

月々のチャリンチャリンを増やす[V字回復上り坂#4]

僕の仕事はWEB制作がメインの仕事だ。

この仕事は、依頼を受けて、契約をして、調整をして、制作をして、納品をしてようやく報酬をいただくことができる。

例えば、4月1日に依頼を受けた場合、

4月2日 初顔合わせ

4月7日 見積もりと提案書提示

4月14日 契約書締結&打ち合わせ

4月15日から5月30日 打ち合わせと制作を重ねる

6月1日 リリース&請求書送付

6月末 入金

こんな感じだ。

これは割りとスムーズに計画通り進んだ場合で、往々にしてクライアント都合でスケジュールが伸びることがある。

(僕はこちら都合のスケジュール延長をしたことがない。)

この場合、100万円の案件だったら、4月に依頼を受けて入金をいただくまで3ヶ月近くかかることになる。

途中スケジュールが変わることもあるから、このような案件を並行して何本も抱えることになる。

そのため、スケジュールのズレなどが生じると、とても過酷な制作スケジュールになり、徹夜3日連続などが発生する。

また、タイミングのずれにより、どかんと報酬が入ってくる月もあれば、予定外に報酬が入ってこない月が発生することもある。

V字の下り坂を下っている最中から、とにかくこの調整が大変だった。

そのため、僕は25万円以上の案件は、契約と同時におよそ25%の前金をいただくことにした。

これによって、ある程度前倒しで報酬がもらえることと、制作したもののお金を払わないというバカタレが発生したときも、前金をもらっておくことにより僅かばかりの危機回避ができる。

結局のところ、僕のように依頼こなし型の業態はこのキャッシュ・フローの調整がとにかく重要になってくる。

税理士や弁護士など顧問契約だったら、契約数に応じてある程度売上見通しが付きやすいが、依頼こなし型は、受注してなんぼ、納品してなんぼのところがある。

そこで、僕は考えた。

仕事があるかどうか分からない。

支払いがあるかどうか分からない。

そんな不安定な経営スタイルに終止符を打とうと。

そうして、僕は月々決まった報酬をいただくことができるサービスを考えた。

それが、WEBのアドバイザリー契約だった。

多くの企業では、効率的なWEBツール(ホームページやSNS)の活用ができずに、もっと効果的に活用したい!と考えている会社が多い。

そこで、毎月1回伺い、アクセス分析や業績から数字による解説をし、より効果的なWEB活用方法の提案を行うのだ。

提案によりまた新しい依頼が生じることもある。

この作戦は大成功だった。

結果的にアドバイザリー契約だけで月々100万円以上になった。

しかも、僕ひとりで回せるボリュームだった。

これなら、仮に新しいWEB制作の依頼がなくても安定収入がある。

実際、アドバイザリー契約の企業からの依頼だけで手一杯で、新規の依頼を受けてしまうとオーバーワークになり、契約企業へのサービスの質が落ちることが懸念されたため、新規は断る状況になった。

僕がV字の上り坂を登りきることが出来たのは、この月々チャリンチャリンと入ってくる報酬モデルを作ったことが大きな要因だ。

僕の知識をスキルを求めてくれたクライアント企業に、僕はとても感謝した。

とことん、自分の持っているものをつぎ込んだ。

本来は、依頼こなし型の業種だったとしても、アイデアしだいで月々チャリンチャリン型のサービスを生み出すことができる。

この報酬モデルは、会社を強くするということを僕は実体験をもって断言したい。


月々のチャリンチャリンを増やす[V字回復上り坂#4]月々のチャリンチャリンを増やす
[V字回復上り坂#4]

本とセミナーを辞める[V字回復上り坂#3]

僕がV字の下り坂と上り坂で学んだことは、アウトプットしか利益を産まない。

ということだった。

アウトプットは何かと言うと、自分の中に蓄えた知識や情報を文字通り外に向けて発散することだ。

具体的には、当たり前のことだが、自身の本来の仕事をするということと、問題の解決に向けて行動を起こし続けるということだ。

僕の場合は、WEBに関する業務をし、問題を解決するために具体的な行動をとるということだ。

だが、僕は状況の暗転を感じた時に、経営やマネジメント、自己啓発に関する本を読むことや、セミナー、勉強会に参加することに多くの時間を割いた。

これらは、インプットの時間だ。

経営に関して不安になると、多くの人は、これらのことに時間を使い出す。

僕もその一人だった。

本をたくさん読んで、勉強会やセミナーに参加して、経営に役立つ知識が蓄えられ、志高い仲間と繋がることによって、気持ちが高揚し、きっと自分は大丈夫だという錯覚に陥る。

その錯覚は、麻薬のように常習性を伴い、それらに触れていないと不安になって仕方がないのだ。

それで、継続して本を読み漁り、セミナーに行き続ける。

しかし、これらインプットの時間は実質的な利益を産まない。

知識をつけて賢くなったつもりでも、学んだ多くの最先端の知識は、すぐには自分の事業に役立つことがないことがほとんどだ。

高額なセミナーに参加すればするほど、「こんなに高いセミナーに参加したのだから、無駄にならないわけがない。きっと学んだことを活かせばうまくいく」と人は自分に都合のよいように事を解釈する。

結局、それらのセミナーは冷静に、客観的に見たら、ネット上に転がっている情報であったり、誰かがすでに言っていることを言葉を変えて言っていたりと、つまらない情報であることがほとんどだ。

僕もいくらそれらのものにお金を費やしたことか。

もちろん、すべてのインプットが必要ないわけではない。

本を読んだり、セミナーや勉強会に参加して、経営のための知識を自分の中に蓄えることは、内容が本当によいものであれば重要だ。

だが、V字の下り坂を下っている最中にインプットの時間がアウトプットの時間を上回ってしまうと、本来やるべきことが行われず、当然利益が生まれず、利益をあげるためにやっているインプットが、利益を削っているという本末転倒な現象を起こしてしまうのだ。

結局、これだけ勉強しているのだからという気持ちの横で、お金はずるずると流れて行き、新しいお金は入って来ず、負の連鎖になってしまうのだ。

さらに、これらの学んだことというのは、じっくり続けて自分に合ったやりかたを作り出して、さらにそれを継続して、初めて効果がある。

付け焼き刃のインプットは全く役にたたない。

V字の下り坂を下っているときは、毎日1冊以上の本を読み、しょっちゅう勉強会やセミナーに参加していたが、V字の上り坂を登り始めた僕は、このことを確信していたわけではなかったが、無意識に本を読む事をやめ、セミナーや勉強会に参加しなくなった。

結果的にアウトプットの時間が増え、そのおかげで利益をあげることができたと思う。

今では、これからの事業に本当に必要な情報を吟味し、インプットをし、アウトプットの最大限にすることを心がけている。


本とセミナーを辞める[V字回復上り坂#3]本とセミナーを辞める
[V字回復上り坂#3]

電話をなくす[V字回復上り坂#2]

一人で仕事を効率よくこなさなくてはならなくなった僕が取り組んだことは、とにかく時間の無駄をなくすことだった。

そのひとつが電話を無くすことだった。

電話は、こちらの都合を考えずに先方のタイミングでかかってくるし、一旦長電話になると1時間ほど話し込むことさえある。

そうすると、それまでの作業への集中力も途切れるし、予定していた段取りが狂ってしまう。

僕の携帯はかつて多い時は、常に鳴っているような状態だった。

そこで、オフィスをたたむ時に固定電話を無くすついでに、電話応対も無くす方向に決めた。

とはいえ、それまでバンバンクライアントとのやりとりにはオフィスの固定電話や携帯電話を使っていたから、ある日突然、きっぱりとやめるということは難しかった。

また、固定電話番号の有無は法人にとって信頼度に影響する。

そこで、僕がまずやったことは、外部の電話応対サービスだ。

これなら、電話番号はそのまま使えるように保持したまま、さらに僕が応対しなくてすむ。

電話番を一人雇うよりもかなりコスト削減にもなる。

実際、会社の番号にかかってくる電話は営業の電話が途方もなく多い。

電話応対サービスには、営業電話は全て断ってくださいとだけ伝えておけば、営業電話に費やす時間と労力を0にできる。

僕は、営業電話が大嫌いだ。

電話営業は、よくもあんなずうずうしい営業ができるものだと辟易する。

勝手に電話をかけて来ておいて、自分たちの利益をあげるために、こちらの時間を削らせる。

僕にとってはなんとも許しがたい行為だ。

だから、電話営業をしているような会社のサービスは絶対に使わない。

営業電話を、外部の電話応対サービスでフィルタリングできれば、かなりの時間を無駄にしないですむのだ。

実際、多くのクライアントは僕の携帯電話に直にかけてくるし、たとえ会社の電話にクライアントや仕事の電話がかかってきたとしても、電話応対会社からその旨の連絡が入るため、こちらのタイミングでかけ直しが可能だ。

また、この体制をとりつつ、クライアントには「IT化業務のため、基本的にやりとりはメールかチャットで」という風土を浸透させていった。

その結果、今では誰も電話をかけてこなくなった。

大げさに言っているのではない。

本当に、電話がかかってくることがなくなったのだ。

電話で話をすることの多くは、メールやチャットで済む。

「電話の方がすばやく事が進む」というのは、ただの幻想だということがわかった。

コミュニケーションが密にならないことを心配する声も聞くが、コミュニケーションなんかは、実際に会った時に取るのが一番だ。

仕事でなくても、一緒に食事に行ったりする方がなおさら深いコミュニケーションがとれる。

ただ、気をつけていることがある。

それは、メールやチャットなどの文章は『感情が伝わらない』ということだ。

電話であれば、声のトーンや話ぶりで感情が伝わるが、メールやチャットではそれができないため、そんなつもりがなくても、相手をムカつかせたりしてしまうことが多々ある。

そのため、僕はメールやチャットの文章は、必ず下手の書き方で丁寧に書くようにしている。

あ、何か誤解されているかも。

と感じたら、そんな時こそ電話を活用する。

おかげで、メールやチャットでのやりとりでもトラブルが生じることはまずない。

電話はとにかく自分の時間をごっそり削っていく事がわかった。

あのまま、電話を使い続けるスタイルを取っていたら、僕はV字の坂道を登り切れなかったかもしれない。

効率よく売り上げをあげるためにも、ITが浸透した現代では、メールやチャットの活用をぜひおすすめする。


電話をなくす[V字回復上り坂#2]電話をなくす
[V字回復上り坂#2]